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ひねもす ちはやふる

HN福ら雀による、漫画「ちはやふる」に関する思ったことのつれづれ考察。 基本的に、否定より現状肯定、貶すより良いほうに捉えることをメインのスタンスとしています。感想より分析が好きです。 支部もやってます↓ http://www.pixiv.net/member.php?id=11693593

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ちはやふる 138首から約1ヶ月

まだまだ考えてます「ちはやふる」のこれまでと、これから。

あのショックからひと月立って、あらためて、138首の波及力のすさまじさを痛感。

もし「この26巻の続きはいま発売してるBeLOVEで読めます」式だったら、続きが気になる読者がBeLOVEに押し寄せて、話題性とか売り上げとか狙い放題だったかもしれない。

でもそこで敢えて休載をひと月半入れることにより、読者は衝撃や混乱から少しは立ち直れる。続きが出る頃には、太一が千早がだけじゃなく、「ちはやふる」というストーリーの続きを偏らず見つめることができそうな気がする。

すごく良心的だと思うし、それだけ太一の衝撃的行動にも配慮がされているのかなと思う。

だからこそ、自力で立ち直れよ、太一ー!

以下、10/19Twitterでつぶやいた内容です。

◎あらためて今日、太一の背中を張って喝をいれたくなった。思い入れとか特にないフツー読者のうちのだんなが「ちはやふる」26巻を読んで、すぱっと「太一フられたな」と言った。私は千早の「ごめん」の意味やふきだし2個問題をきなきな考えていたというのに…!

◎今後の展開はどうあれ、やっぱり曇りのない?眼で見ると太一はNOと言われたのかもしれない、少なくとも太一本人はNOと言われたと思ってる訳で。で、その真偽はとにかくとして、退部届には「受験に専念」と書いたという事実がある。そしたらどーして千早にもそれで通さなかったのか!

◎千早は「退部は嫌」と言ってるので、太一のかるたへの情熱は疑ってなくて、かるたやめるとまでは思ってなかったかも。そんな相手に、一気にかるたへの情熱を否定するようなことを告げると同時にそれが千早のせいだというような行動をするとは。

◎小学生の眼鏡事件の時は試合後に一度自主的に返そうとしたし、返す時も「拾った」とごまかさなかったし、何より子供にとって母親のあのプレッシャーはなと情状酌量の余地があったけど。今回は言い訳の余地なし。受験でという建前ならそれを貫け!しかも大切な人をその人の大切な物ごと傷つけるな!

◎そして振り返れば、太一がかるた始めたのも新への対抗意識があってだしかるた会に入ったのも自分が嬉しかったからだしかるた部作ったのも千早応援とはいえ自分で「やろう」と決めたことだ。太一にとって千早=かるたが100%一致じゃないのに。実際かるたで自分自身いっぱい成長したのに。

◎かるた部の皆からの信頼もそう。これまで積み上げてきたもの、青春かけてきたものをぜーんぶ自分から投げ捨てようとするなんて。しっかりしろ目ぇ覚ませ!と。これできっぱりかるたとも千早とも縁を切って受験に邁進できるならそれはそれで千早の成長には不可欠だったんだエピソードになるかもだけど

◎きっとそうはならずかるたに帰ってくるんだろうと思う。そしたら復帰への道はこれまで以上にイバラの道だ。それをくぐり抜けてもかるたやりたい!という太一なら、これまで応援してきたと同じに応援してやまない。でもとりあえず、ホントにその背中、ぶっ叩いて喝をいれたい。

以上。

月日がたち、
だんだんと冷静さを取り戻すとともに、ホントここが正念場だぞ太一、と固唾を飲んで見守る気持ちになりつつあります。

振り返れば、これまでで一番の太一のかるた的ピークは、高2の高校選手権から、吉野会大会決勝あたり。

吉野会大会では、「一番太一の心が近くにあった」と千早も後で言っていましたね。

吉野会大会の太一は、新の目の前で新の兄弟子の村尾さんを下すという「強さ」を見せていました。
新をじりじりさせるくらいに。

けれど千早に負けた時。
拳を震わせて、顔が見えない位にうつむいていた太一。
流れるのは汗…もしかしたら涙?

この後の新の宣戦布告も、この後の太一の落ち込みに影響大だとは思いますが、その前ですでに太一は千早に負けたことを、ただ「負けた」こと以上に重く受け止めていたと思うのです。水道を出しっ放しにするくらいに。

考えたら同会で同じ学校で、太一が公式戦で千早に当たる機会は、ものすごくものすごく少ない。
吉野会大会での対戦は、まさに千載一遇の機会だったはず。

団体戦で日本一、個人戦でB級優勝し、富士崎でも鍛えて全勝して絶好調のさなかの発言が、「この秋は 右手のお前に 公式戦で勝つ」でしたから、千早に勝てば何かを変えられる、と思ってたのかもしれません。

千早はといえば、高校選手権の新vs詩暢を見て「あの情熱を受けて立てるようになりたい」と思い、新への「一生好き」も自覚し、「恋バナ」として新のことを話したりしているタイミング。

ずっとそばにいるから、千早の大きな変化と、その変化の裏にいる新の存在に、太一は漠然とでも気づいてたのかも。

そして受験の3年までのカウントダウンも始まりつつあり…

もしかしたら太一は、残された時間の少ないなか、公式戦=吉野会大会で千早に勝つことで今の悪い流れを一度断ち切りたかったのかもしれない、と思います。

その後修学旅行をパスして予選に出たことも、予選で、まるで何かに追われるように「早く」「次の試合」と次を求めていたのも。

千早が新への恋心を自覚し、新も吉野会大会でなんとなく自覚し(その後「千早も太一も友達や なんであんなこと思った?」と思うあたりまだほんのりですが)、じりじり三角形のふたつの角が近づいていくなかでの、太一の焦り、危機感からなのかもしれません。

富士崎合宿のとき、
「私はきっとまだなんにもわかっていないんだ 太一のことさえも」
と思っていた千早。

でも逆に言えば、それまでは「よくわかってる」と思ってたということ。

千早が、抜け駆け、と驚き、いつもいつも1人でどうして、太一はなんで、と太一の気持ちがわからなくなるのもこの辺りから。

周防名人に嫌悪感を感じてしまう千早、惹かれる太一。
原田先生との対戦で新に助言する千早、咎める太一。
新からの告白を受ける千早、周防名人に彼氏ですと虚勢をはる太一。


千早が「太一の心がいちばん近くにある」と思った吉野会大会が、ふたりの気持ちがすれ違っていく始めだった、というのが、本当によく練られているなと思います。

そして、すれ違ってきていることを、感じとれない太一ではない。

名人戦クイーン戦観戦の合間、いつもはふたり一緒にいることが多いのに千早の単独行動が多かったこと。

周防名人の運命戦での「ひっかけ」に、真っ黒になった千早が「外の空気吸ってくる」と出たときに追えなかったこと。

周防名人が引退発言をするとき、意を決して何かをしようと立ち上がった千早と、それをとどめる新。
そしてその後の新の行動を見た千早の表情を見れば、千早も同じことをしようとしたことがわかったはず。その取り残され感。

すれ違いと時間のなさから来る、焦り、危機感のせいか、太一の思考がだんだん近視眼的というか、硬直化してしまってきているような気がします。

千早は、一度マイナスの評価をしても、ずっとそれに囚われることがない。
実際、周防名人に嫌悪感を抱いていた千早ですが、嫌い一辺倒ではなく、名人が礼を尽くして原田先生と戦う姿を見て、新と同じく「このまま引退させるのではなく、正々堂々と戦って倒したい相手」として認識を変えています。

新は、「5歳児にも手加減しない」という言葉に象徴されるように、相手が誰だとかそういうことには囚われない。
太一のことを見下していたのだろうか、と自分の心の闇に一度囚われても、恥ずかしくてもたいしたことなくても逃げない、と呑み込んでいます。

けれど太一は、物語が進むほどに刷り込みみたいに、AとなったらAしかない、と固まって=居着いてしまっているような気がする。

気負ったらダメ、「新と当たって気負わずにいる自信がない」と思って、自分を気負わせてしまったり。

かるたに勝てないと、自分のなりたい自分になれないように思ったり。

太一杯開催や菫ちゃんの応援、坪口さんの「新の話が聞きたかったんじゃなくてまつげ君のことを心配してるんだよ」発言からなのか、千早が新より自分を見てる、と思ったり?
(ここは自信ないですが、ごめん、と言われた後の傷つきようを見ると、心のどこかではそう思ってたんじゃないかなあと)

千早を好きだけど、好きになれないところもあると思ったり。

千早に振られたから、かるたもできないと思ったり。

生きて行くうえでは、ひとつの考えに居着くのではなくそこを超えて、相反する気持ち双方をうまくミックスさせて適宜折り合って行くのが大事なんだと思います。

そういう意味では、新は太一にとっていちばん矛盾のかたまりな存在。

戻って来て欲しくないけど戻ってきたら嬉しい。
会いたくないけど、貰って嬉しい言葉をくれる。
敵だと思ってるけど、はじめてのチーム。

太一は新と折り合うことができたら、他のことも折り合えて上手くいくのでは……。

本人ものすごくキツイかもしれませんが、自分の卑怯さから逃げずに、ちゃんと見つめる目を持ってた訳なのだから、太一ならできるはず。

これまで独り言みたいに敵だよ、とつぶやいたり、「ちは」の札に託すことで逃げてたけれど、取り返しのつかないことをした今ここで、もう開き直って、正面切っての感情のぶつかり合いをしてほしいと思います。

かといって、「ちはやふる」で、恋愛的にドロドロしたところや、太一の落ち込みようをこれ以上描いて欲しいわけではないのでした……。恋愛でもドロドロはもう満腹、ベタでも「一生懸命っていいな」と思えるような、これまでの「ちはやふる」的な元気がでる展開を希望!

だから、がんばりは行間から滲み出るような感じで太一よろしく^^;がんばれ太一!

奇しくも太一が不在のBeLOVE21号の他の漫画で、こんなメッセージが。

【勘違いするなよ尚子
人を好きになるっちゅうことは
幸せなことばい

そうだ…
人を恋うることは…
自分が幸せなことなんだ…
報われようと 報われまいと
人を恋うること…心は
自分に与えられた愛なのだ…】
『生徒諸君!最終章•旅立ち』

【真利亜 石は私に教えてくれたの
本当の愛は相手の幸せを願うことだと
恋や愛は魔法と同じ
ふたりの心が重なるのは奇跡と同じ

自分の思いが届かなくても
相手の幸せを祈るものなの】
『SUPER G』


叶わないからって、投げ出さない。
好きになれないからって、嫌いにならない。
自分の心の持ちようですべては変わる。


☆補足のような蛇足☆

太一の名前の由来が気になって、「太一 由来」でググってみました(笑)

wikiによると、
【太一は以下のものを指す。どれも同一視されることが多い。

太極(たいち)
北極星
大日如来
天照大神】
だそーです…!!

なんかすごい、太一!
北極星というとつい冬のソナタを思い出します。

“山で道に迷ったら、まずポラリスを探すんだ”

チュンサン…。太一も道に迷ってるよ…。

北極星はブレない。
この子もブレない人(ちはやふる人?)になってほしい…だから、太一。

という名付けの由来だったら良いなあ。

そしてご都合主義かもですが、太一のお母さんが名付けの由来を思い返して、
「あんなに反対してもやってたかるたじゃないの!ブレずにやったらどうなの??!」
とか叱りつけたら惚れる。

妄想ですけどねー、でも、悪いことしても、悪人というか、人の気分を害する人かほとんどいないのが「ちはやふる」で私の好きなところなので、そんなスッキリ展開を望んでやまない!

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